コメント:愛様から頂いためけめけ誕生日プレゼント
愛ちゃん、ありがと〜(^▽^)Y~
12/21、駄文つけちゃいました(汗)
二人の日常
「どこ行くんだ?」
土曜の昼過ぎ、征士がコートを着込むのを見て、当麻は尋ねた。
「買い物だ。年末にむけて買いだめをしておかねばなるまい。」
その応えに当麻はソファから立ち上がった。
「なら、俺も行く。荷物たくさんになるんだろ?」
その当麻の申し出に征士は少し考えた後、わずかに笑って頷いた。
「次は?」
「ふむ・・・・・・牛肉だな。」
当麻の問いに征士が応える。
ちなみに征士の手には両手一杯の荷物。
対する当麻は手ぶらである。
「んーわかった。とってくる。」
当麻はぱたぱたと走っていく。
その足取りはどこか楽しげで、奥様方の合間をすり抜けていく。
その背中をゆったりとした足取りで追いかけながら、征士は小さくため息をついた。
(まあ、予想通りだな。)
荷物がたくさんになる・・・・・・そう言ってついてきた当麻だったが、案の定彼の頭の中に荷物を持ってやるという発想はなかったようだ。
最初から一人で行く予定だったのだから、買い出しの中身は征士の手に負えないものではないのだけれど、では全く問題にならないほど軽いかと問われれば否だった。
(一応、働いてくれていることは働いてくれているのだが。)
先ほどから、当麻は征士に買うべきものを聞いては、とりに走る。
ぱたぱたと自分の元から走っていっては、目的の品を持ってぱたぱたと戻ってくる姿は、何やら母親の手伝いをしている子供のようだった。
その姿を、征士が目を細め口元に笑みを浮かべながら見ているのに当麻本人は気づいていない。
(結局、私は当麻が一緒に来てくれるだけで嬉しいのだがな。)
当麻の申し出を受け入れたとき、おそらく荷物持ち要員として彼がほとんど役に立たないだろうことを征士は覚悟していた。
それでも、当麻が一緒に行ってくれると言ってくれたのが嬉しかったし、少しでも一緒にいたいので申し出を受け入れたのだった。
ふと、前を通りかかった鮮魚売場で、おいしそうな鯖が売っていた。
(シメサバにでもすれば長持ちするかな。)
そんなことを思いつつ、それに腰をわずかにかがめ手をのばした征士に大きな声がかかった。
「こら、征士、駄目だって!」
そちらに目を向けると牛肉を手に持った当麻が駆け寄ってくる。
驚いている征士の横に並ぶと、征士が手を伸ばしていた先の鯖をとった。
「・・・・・・はい。自分でとるなよ。お前が欲しいものは俺がとってやるからな?」
少し息をきらしながらそう言う当麻に征士は首をかしげた。
「どういうことだ?」
「だってさ、重い荷物持ってるときって腰屈めるの辛くないか?俺らって結構背高いじゃん。こういうスーパーって奥様方向けの高さだしさ。」
まあ、高いものとるのは楽だけど・・・と続けた当麻に、征士は微笑んだ。
「ありがとう。私を心配してくれたのだな。」
「え・・・・・、ま、まあな。」
そっぽをむいて鼻の頭を掻く当麻に、征士は愛しさを感じる。
実際その程度で征士の腰がどうにかなるほどやわだとは思えないのだが。
(華奢な腰のお前だったら、どうかしらんがな。)
当麻が聞いたら真っ赤になって怒鳴りそうなことを思いつつ、征士は当麻に手渡された鯖を買い物かごに加える。
「で、次は?」
わざと背中を向けて尋ねる当麻に、日常の幸福感を噛みしめつつ征士はメモに目を走らせる。
「ふむ・・・・・・」
そんな日常の一風景。