海の実践授業


忍術学園では、5年生にもなると実習授業も多くなる。
そして、あの一年は組の3人が持ち込む厄介事には、実践授業として巻き込まれることになるのだ。

今日も、本来なら休業日としてのんびりと寮で過ごす予定であった彼らに連絡がくる。
「当麻、緊急事態だ。運動場へ行くぞ」
部屋で横になって本を読んでいた当麻に、征士が出口のところで声をかける。
「はぁ〜?今日は、休日じゃないのか?」
当麻は、本を閉じてむくりと起き上がる。
「また、あの三人が厄介事を持ち込んだらしい」
「…全く、せっかくの休みなのにな…」
そういいつつも、当麻の足取りは軽い。
ひまを持て余していたし、何より実践をするというのは、楽しいものなのだ。

運動場へ向かうと学園長がすでに待っていた。
生徒は大体50人ぐらいがいる。制服から判断すると4年生以上といったところであろう。
当麻と征士もそれに加わる。
しばらくして、生徒が集まってすんだ後、学園長が説明を始めた。
「………ということなので、至急援軍として出発するように」
「はいっ!!」
返事とともに生徒たちは一斉に学園を飛び出していった。


海に着いた時、ドクタケ城の恐竜ボートが3人組の乗った船を追いかけていた。
「あ、あれってあいつらじゃないのか?」
「そのようだな…。時間が迫っている急ごう」
海岸の集合場所には、土井半助が待っていた。
「何とか間に合ったようだな」
「何をすればよいのですか?」
「あぁ。あの、ドクタケ城の恐竜ボートを海の中から穴を開けて沈めてくれ」
「わかりました」
時間がないので、すぐに作業に取り掛かる。
海賊の船ということもあり、一時はボートを引き離していたものの、火矢を放たれてしまい3人の乗る船はあっという間に火に包まれる。
「3人が海に飛び込んだぞ」
「じゃ、作戦開始だな。なぁ、征士。どちらが多く沈められるか競争する?」
作戦開始の合図となる3人組の飛び込む姿を見て海に潜ろうとする征士に声をかけた。
「今回は遊びではないのだ。そのようなことをしている場合ではない」
「はいはい。わかってますって…言ってみただけだよ」
「解っているなら良い。では、また後でな」
まさか海の中から穴を開けられるとは思っていなかったのか、水軍としては全くの素人であるドクタケ城のボートは次々とあっけなく沈んでいく。


「ご苦労さん」
海から出てきた後もいろいろと片付けを済ませてきた征士に当麻がふきんを渡す。
「ありがとう」
「大変だな。お前もいろいろと雑用を押し付けられて」
その言葉に、征士が動きを止める。
「…私だけではなかったはずだが?」
「あははは。ま、いいじゃないか。とりあえず、仕事は終わったし、学園に帰って一眠りしよう。俺は疲れた」
征士とともに、用事を言いつけられていたはずの当麻は笑ってごまかす。
「話をすりかえたな」
それ以上言っても仕方ないと思ったのか、征士は当麻とともに学園に帰る事にした。

「おーい。征士に当麻―」
帰ろうとした2人に声をかける物がいた。
「ん?」
「今晩はお前たちと俺たちの4人で見張りの当番だからな。寝過ごすなよ。特に当麻」
振り返った当麻に後ろから走ってきた雷蔵が話し掛ける。
「げっ。そうだったよ。後5時間しかないじゃないか!!」
慌てて走って帰っていく当麻の後を征士はゆっくりとついていった。


彼ら(特に当麻)が、寝坊せずに起きれたかどうかはまた違う話…。

  続く…かも

征当じゃないよぅ…。 忍たま版征当」…になってますでしょうか…?
めけめけさん。お誕生日おめでとうございます。
せっかくの記念日にこんなものを贈りつけてしまって申し訳ありません。
もうひとつは、また、こっそりとめけめけさんに送らせていただきますね。
そちらが本題ですし…。ごめんなさいです…。
こんな、馬鹿深海ですが、これからもよろしくお願いします。